毎試合MVP級の活躍でチームを牽引しているのがエースのカーメロ・アンソニー。今シーズンの彼はこのまま行けばシーズンMVP候補筆頭と言えるでしょう。NYで行なわれた対ボストン戦。歴史的にも長いライバル関係を築いてきた因縁のこの2チームが顔を合わす時は決まって激しい闘いになるのが常なのですが、この日は試合中にカーメロとケビン・ガーネットのトラッシュトークバトルがヒートアップ、両者揃ってテクニカル・ファウルを受ける流れとなりました。
まあ、KGはトラッシュトークが激しい事で有名、KGの挑発にキレたカーメロが『試合終わったら覚えていろよ!』と、懐かしの不良中学生ばりの捨て台詞を吐いてコートを退出、そのまま敵チームのロッカールームへ直行したのです。セキュリティーに制止されながらもKGへの収まらない怒りをシャウトしたカーメロは、引き続きセルティックスの移動バス前でKGを待ち伏せ、一言もの申すまでは帰らんと仁王立ちする始末。
これには関係者も騒然。ウッドソンHCはじめ、JR・スミスらがカーメロに対して必死の説得(JR・スミスが説得する側??)を試みるという騒ぎに発展しました。事態が収拾するかと思ったその瞬間、タイミング良く(悪く?)KGが登場。二人の大男を囲むセキュリティー、警察、チーム関係者で現場は大混乱に陥り、双方の関係者が止めたり揉めたりで大騒ぎ。現場は非常に危険な状況と化したわけです。
これにはさすがのNBAも黙認する訳にはいかず、結局カーメロは約1600万円の罰金を課され、1試合出場停止処分を言い渡されました。一体なぜカーメロがそこまでキレたのか?KGとの間でいかなるやり取りが交わされたのか?当然ながら、この事件に地元メディアもすぐに反応しました。翌日のインタビュー記事によると、『大人として、男として超えてはいけない一線をKGは超えた』とカーメロが発言する一方で、KGは「チームを勢いづける為にはよくある事」と発言。
一説にはKGがカーメロの奥さんに関して罵詈雑言を吐いたらしき報道が出回りましたが、真実の程は定かではないようです。騒動の翌日、練習後の取材でニックスのウッドソンHCは「挑発したKGには何らのおとがめなしで、カーメロだけが出場停止&罰金処分になるのはフェアではない。コート内での特定の選手によるトラッシュトークは度を超している」とコメント。これに対抗したセルティックスのリバースHCはラジオ番組内で「KGは一線を超えていない。自分は現場にいたから何が起って、何が起らなかったかをよく分かっている。カーメロの行動はあってはならないものだった」と応戦。両チームともお互いのエースを擁護する対応を取りました。
当日のカーメロはすっかり頭に血が上ってしまい、自身のプレイも出来ぬままチームも負けてしまいました。結果的にはKGとセルティックスの思う壷にはまってしまった訳です。試合後の評論家達の意見もおおむね「挑発されて乱れたカーメロがあまりにオトナ気なかった」と言う批判的なものが大多数を占めたようでした。そこで今シーズン絶好調で誰も止められないカーメロに対し、思わぬ攻略方法が浮上しました。
その方法とはなんと『ヤジ戦法』。なんとも古典的です。最新の科学技術を駆使して様々な研究を行っているNBAですが、まさか2013年にもなって『ヤジ戦法』にたどり着くとは予想もしませんでした。ところがこの『ヤジ戦法』に対するNYの意外な対応が物議を醸しているのです。なんとニックス名物オーナー、ジェームズ・ドーラン氏がMSGのコートサイド両端に音声の技術者を配置、パラボラ型超高性能マイクでカーメロ周辺の会話を全て録音してその内容を調査するという措置を取ったのです。古典的『ヤジ戦法』に超ハイテク作戦で対抗。こうしてカーメロに挑発的な発言をした選手の会話はもれなく録音され、後日証拠としてNBA本部に提出されることになるとか。
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